尾去沢今昔 その4「中沢鉱滓ダム」[秋田県鹿角市尾去沢・8/21]

平成26年8月21日。
尾去沢春木沢の元スポーツ施設が数多並んでいた通りを鉱山方面に進み、
ここにたどり着いた。
かの中沢鉱滓ダムである。
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鉱滓とは、浮遊選鉱により分離された鉱物と岩石分のうち、
岩石分を主とする選鉱のカスの事を言い、これを堆積・貯蔵する所が鉱滓ダムだ。
尾去沢鉱山にはこの鉱滓ダムが数多く設置され、中沢鉱滓ダムもその一つ。
(株式会社ゴールデン佐渡編『史跡尾去沢鉱山 歴史の風景』、2008、3頁)
「その2」でもちょっと触れたが、
昭和11年11月20日未明と翌月12月22日未明の2回、この中沢鉱滓ダムが決壊。
当時の尾去沢の街並みを呑み込み374名もの死者を出す大災害となった。
この写真は修復された堤体で、現在も鉱害防止のため管理が続けられている。
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中沢鉱滓ダムから下流を望む。
向こう側には、「その3」で書いた野球場などがある。
どうやら色々な文献を紐解くに、
元はこの「春木沢」が尾去沢の中心地であり、
役場や協和会館と呼ばれる娯楽施設などが建っていたとされる。
しかしこのダム決壊により全て流されてしまった。
協和会館に至っては完成後僅か1か月で流されてしまったらしい。
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このダム決壊があってから、
尾去沢の街は高台に移る事になった。
現在の市街地辺りが、その事なのだろう。
復興施策として決壊の爪痕に造られたのが、例の数々のスポーツ施設だった。
かつてある老人から聞いた事がある。
今でこそ尾去沢の隣町、「花輪」が栄えている(鹿角市の中では)が、
もし例のダム決壊がなく、尾去沢の街がそのまま続いて残っていたら、
今の花輪町の繁栄は、そのまま尾去沢がそうなっていただろう、と。
それだけかつての尾去沢の街の繁栄は凄まじかったし、
ダム決壊は全てを流してしまったのだ。
尾去沢ダム再び決壊

製錬カス堆積場
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尾去沢鉱山で、精錬所が建設された明治22年から閉山の昭和53年まで採掘された鉱石の総量は2850万t、
うち銅が30万t、鉛・亜鉛がそれぞれ1万t、金4.4t、銀155tと推定されている。
その間分離された岩石分は、溶融温度を下げるために使われた珪石や石灰石と共に製錬カス(からみ)として捨てられた。
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昭和17年頃までは、火山の溶岩のように真っ赤に夜空を染めていたと伝えられる。
(株式会社ゴールデン佐渡編『史跡尾去沢鉱山 歴史の風景』、2008、3頁)
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その製錬カス堆積場の、谷を挟んで対岸に、
最近整備したような、こんな場所がある。
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森の向こうにつながっている。
元は道だったようにも見える。
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もともと道だったのではという根拠はこちら。
侵入を拒むような柵が設けられている。
という事は、逆に言えば、ここは本来人間が侵入すべき場所だったという事になる。
実際母親に聞いたところ、
例の「その3」で書いた、野球場脇の通勤路。
通称「よろけ坂」。
これがその「よろけ坂」だと言う。
つまり野球場脇の道を登ってくると、ここに出るというわけ。
当時の鉱山職員はここを歩いて登って通勤していたのだ。
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今の「よろけ坂」出口から車道を挟んで対岸に、
これまた奥に行けそうな道があった。
これに関しては母親も知識がなく、僕と二人で「何だろうね」なんて話して通り過ぎた。
しかし後ほど、この道の正体が判明した。
これは今では失われた、当時の「中沢」という集落へつながる道だったのだ。
母親が幼い頃、母親の母親(つまり僕の祖母)がよく「中沢の集落」の話題をよくしていたのだとか。
しかし幼いころの母親は「中沢ってどこだろう」と思っていたという。
わりと早い内に無くなった集落だという事が窺える。
山奥にありすぎて通勤が不便だったのかな。
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PENTAX K-5 + TAMRON AF 18-200mm f/3.5-6.3[IF] MACRO ASPHERICAL LD XR DiII


また例によって今日巡った場所を赤い枠で記した古地図を貼ったから、
頑張って見てみて下さい。
元画像は1,600万画素なので、元画像をどうにか開ければ、きっと細かい文字まで見えるでしょう。
緑色の枠は前回以前に行った場所です。
s-尾去沢今昔マップ_03_中沢鉱滓ダム_製錬カス堆積場_よろけ坂出口_中沢入口



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Author:zunsanzunsan
秋田県出身、山形県庄内地方在住のzunsanことK.Junです。
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